借景。

一昨日、「入梅」。
午前中、そのものすごい雨にばちばちと降られながら、
上下オレンジの支給雨具を着て、黙々と自然畑に初の定植。
子どもの頃からなぜかカッパ上下を着て、雨に思い切り降られるのが好きだった。
「もうどうにでもなれ」と思うと、ニンゲン、笑うものである。
泥んこ祭りと通ずるものがある。


オレンジカッパ3人集。
親方は草刈り機を振り、マツ君は有機畑で有機的実験、
クローバーを摘んでは苗の間さに嬉しそうに植えていた。
クローバーも豆系なので、
空気中の窒素を吸っては根っこに根粒菌として還元してくれる。

豆でもクローバーでも根っこをよく見ると、小さな粒がある。
それが根粒菌、善い奴。
草木はなかなかに奥が深い。
土の中の根っこを想ったり知ることは、
自分にとって見えない何かを考えるきっかけ。

* * *

誰かしらの人生でも、語れる部分、あるいは知人によって語られる部分って、
その人の「見えている人生」に過ぎなくて、
その一方で、その人自身が、一人で酒呑んでぼけーっと考えたり、
イライラを人に言わないように口をつむんだり、
風呂に入って暖かいなかで涙したり、
音楽聴いたり、屋上で風に吹かれたり。

別に誰にも言うことじゃなかったり、
あえて、誰にも言わなかったり、
そういう時間や空間が、その人の「見えない人生」、
見られていない、見られない人生だと思う。

背景。
その人の背景を知らないくせに、その人をとやかく言うことは、
卑怯だから、なるべくしないようにしたい。
でも、してしまう。

* * *

昔、取材仕事で記事を書いていた頃。
いつも〆切時になると、
一緒に深夜組になるベテラン記者さんがいて、朴訥然としていてとても素敵な方だった。

たまに夜中に集中力が切れるタイミングがお互いに重なって、そのときにふと
お茶を飲んだりラーメンすすったりしながら聴かせてもらう話がまた贅沢だった。
25歳くらいか。

今でも時々思い出すのは、辛口な記事についての話になったときに、
「アイツのここが悪いとか、敵対しているニンゲンは好き勝手言いたい放題に言うけど、
でも、本当に悪い部分、あらためなきゃいけない部分ってのは、
わざわざ言わなくたって、当の本人の方が一番よく自覚していることだからね」
という言葉だった。

さも知ったかのように、鬼の首でもとったかのように、
自分は手柄を示したい欲があったけど、どうもそうでもない力の抜き方があって。
変な例えになってしまうけど、腕が一流の剣客が斬ったら、
その切り口は美しいものかもなあと思う。
ずぶの素人の自分が斬っても、おそらく切り口は美しくない。
鈍。なまくら。
その見てくれをごまかそうと、ごにょごにょとさらに何かしようとするとなお乱れる。
たまに台所で美しい包丁で野菜を切っているとそんなことを思う。

「いいこと」をしない、ことが、農業でも大事。
「いい」と思って重ねるヒトの手が、育ちを狂わせてしまう。
必要なことは、いざ弱る兆候を見抜くこと、
どうしたいのか、毎日様子を見ること。
親方の言っていた「苗と話せ」って、そういうことだと気付いたのが最近。

とても、難しい。


話は戻って。

その有機畑(長岡野菜であるところの「かぐらなんばん」)。
昨日は、かぐらなんばんと鷹の爪、巾着なす、千両なす、梨なす、ピーマンを畝に植え、
一番下方の崖に地這いのキュウリを植えた。


比較。
自然畑。同じかぐらなんばん。
蕎麦の敷き草の中に一応ちゃんと植わっている。

ずらーっと一息に書くと、
敷き草は、遮光して雑草の発育を防ぎ、
地温の上がり過ぎを防ぎ、湿気を逃がさないことで乾燥を防ぎ、
土の下にミミズや虫を呼び、捕食し合い、土の中を有機的に循環し、
雨が落ちた時に葉っぱに泥の跳ね返りを防ぐ。
葉っぱに泥がつくとそこから病気になりやすい。
「雨の日はトマトに触るな」。

* * *

今日はキュウリの続きからトマトの定植。
水が好きなキュウリと、太陽が好きなトマト。
緑と赤が一つの皿に並ぶのを想像しながら、今日も畑に出ようと思います。


今日考えたいこと。
・農業芸術というもの
宿題:「美味しい」という食感は、味覚という受容器にとっての”美しさ”といえるかどうか
・座標軸というもの
宿題:立つ畑からグーグルアース(?)みたいにどんどん上へ上へ上がっていて
山や長岡や日本のなかにぽつんと点で生きている自分を俯瞰イメージできるかどうか
・アナログという持続性




<カラダが喜ぶと、気持ちが落ち着いた。>

投稿日:2009.06.13
投稿者:straightreさん
掲載ブログ:hands across the Japan
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